色と日常

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小学校の教科書

20年ほど前、「色覚異常」のナオパパさんが小学校の教科書を点検し、「色覚異常」の子どもが苦労するだろう点を教えてくれました。

学校の教科書、現在はどうなっているのでしょうか。かなり改良されていると思います。
コロナのご時世ですから、オンラインでデジタル教科書体験版を見ることができました。 かなり良い配色に感じました。格段の進歩がある気がします。けれど、ナオパパサンのも念のために再掲します。

windows10なら、Windowsキー+Ctal+Cでモノクロになりますので、それで視認性を点検できます。モノクロでも判別できる、意味が通じるという教科書がベストかと思います。

◆ナオパパサンより。レポートの主旨

書かれている設問の意味が分かるか? 回答できるか? について調査した。

児童自身が色覚に異常があると認識していれば、色物について注意深くなるため、判別は出来なくても色を使っている事になんらかの意図があるという思慮をもつことはできるが、特に低学年の場合には色分けの意味すら分からないでいる場合がある。

このレポートでは、特に低学年ほど「もし、教師がこんな配慮を忘れたら・・」という厳しい見方をした。

ここからレポート

とても良くない例:このままでは色覚に異常を持つ児童の自力では設問の意味が分からない。回答できない。解決できない可能性がある。

◆社会科3年/地図

社会科の地図 実物:横7cm/縦18cm

地図、グラフ、統計など、色を使った表現はどんどん活用してほしいものであるが、色覚異常者にとっては、これほど辛いものはない。
もし、この地図、グラフ、統計をモノクロコピーしたら判読できるか?という観点で網掛けを掛ける(それが万全な解決方法ではないが)等の考慮であれば、昨今のカラー表現化に逆らわずにゆけるのであろうか?

商店街の商店の種類を7つ(業種)に色で分類している。各店が点在している為、凡例は別な所におかざるをえないのであるが、どの色がどの店なのか?(私自身は)、殆ど判断できない。網掛けの併用などができないものか?

◆算数3年/そろばん

そろばんの説明 実物:横14cm/縦6cm

そろばんの使い方の演習である。そろばんの使い方を記述しているなかで、「上向きピンクの矢印は親指で、上下青の矢印は人差し指で玉を払う」との解説である。残念ながら、私には、それぞれの矢印の違いがわからない。

 

良くない例:設問があいまいであったり、質問の仕方が教師に任されている。質問の仕方によっては意味が分からない、回答できない、解決できない可能性がある。

◆社会科3年/地図

社会科の地図

児童が書いた地図に先生が”わかりやすさ”のアドバイスをするという設定である。 残念ながら私は児童が書いた方がまだわかりやすい。先生は、林は緑、商店街は赤、学校を茶色とした。この、緑と、赤と、茶色の識別が他に手がかり無い為、困難である。

◆算数3年/そろばん

そろばんの説明

そろばんの使い方の演習である。玉を黄色と橙とピンクと水色で表し、かつ、着目すべき列がピンクで囲まれている。それぞれの色がどういう意味を持つのか?そもそも、わからない。
ただ、ピンクで囲まれた玉の色が、橙の場合、ピンクの玉であるように見える。いずれにしても、配色した意図が良く分からなく、色覚異常者には不安で仕方が無い。

 

良くない例:本来の設問には回答できるが、教師が応用問題をつくった場合に、上記と同じ状態(回答できない)になる可能性があるもの

◆国語2年

国語

国語という教科の特性上、児童とのやりとりの内容は教師の判断による所が多く、色を題材にする場合には格段の配慮が望まれる。図では3種(3色)に分類しているにもかかわらず、見えかたによっては2種類(2色)の分類と誤解しかねない点が心配である。
薄い色での分類は避け、線の種類等を用いるべきである

 

良い例:配色や設問に配慮がされており、好ましい。

◆(ア)(イ)と、色だけに頼らない表示がされている

算数

黄色い標準のテープと、先生のピンクのテープ、そして、ひろし君の水色のテープの長さを分数で理解する問題である。
先生とひろしくんのそれぞれのテープの”はした”がアとイで表現されており、以降の設問はアあるいはイで表現されている。

◆凡例がグラフの一部になっている

市内の工場の数と従業員数を業種別に表したグラフである。凡例がグラフの一部であり、色の困惑が避けられている。

 

 

 

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