きゃりぃさん 1999/04/18
わたしはごく軽度の色弱です。
日常生活において不便を感じたことは一度もないし、他の人と比べて自分の色の見え方が違うと感じたことも気がついてないだけかもしれませんが今のところありません。
でも、わたしの中にはずっと色に対してのコンプレックスがあります。
それは子供のころからの「色覚検査」や「親の態度」によって作られていったものだと思っています。
小学校のときから、色の点々がいっぱいついていて、指でなぞったりする検査が嫌いだった。
だって、絶対に後で保健室に呼び出されて再検査を受けさせられることがわかっていたから。一生懸命やっているのに、先生は首をかしげて、
「もう一回やってごらん。」
でも、小さいうちはそれが何を意味するのかわからなかった。
最初にそれを意識したのは、高校受験の時。
色覚異常だと工業高校の受験に制限があるらしい。その日。工業高校受験予定で色覚異常の疑いのある生徒たちが保健室に集められた。
わたしは普通高校志望だったから関係ないはずなのに、なぜか呼ばれて検査をした。
周りは男の子ばかり。そのとき、保健の先生の言葉で、初めて女性の色覚異常者が大変めずらしい存在であることを知った。
わたしは、
「女の子が色覚異常のはずがない。」
から、確認のために保健室に呼ばれたのだった。
わたしの父は色覚異常。そして母は遺伝子保因者だったようだ。
普通このような組合せが発生することはめったにないから、女性の色覚異常は男性に比べてうんと少ない。
わたしは、母と初めて色覚異常について話し合った。
母はわたしを
「かわいそう。」
だと言った。すごく嫌だった。
だって、わたしは今まで色に不自由したと感じたことがなかったから。
納得がいかなかった。
「他の人には色がもっと鮮やかにきれいに見えているんだよ。」
悲しそうに母は言った。
そして、わたしがちょっと前に家庭科で作った黄色いパジャマの批判を始めた。
わたしは、そのパジャマに紫のボタンをつけていたのだ。ポップな感じでかわいいと思っていた。
「色覚がおかしいから、あんなきちがいみたいな色の組合せをするんだ。」
と母は言った。
今ならわたしは反論できる。
母は色覚異常についての知識がなかったのだ。
色弱は、ある特定の色に対する反応が鈍いだけで、その他の色については健常者と同じように認識できる。
日常生活にはまったく支障がないし、黄色いパジャマに紫のボタンだってぜんぜん変じゃない。そんなの単なる好みの問題だ。
でも、母に言われてものすごくショックを受けたわたしは、2度とそのパジャマに袖を通さなかった。
そして。色覚異常はわたしのコンプレックスになった。
実は、同じ親から産まれているから当然わたしの兄弟も色覚異常を持っている。でも、色覚異常にコンプレックスを持っているのはわたしだけのようだ。
なぜなら、絵を描く趣味を持っているのはわたしだけだから。
そして多分わたしは第一子ということで親も力が入っていたのだと思う。
アニメや漫画にトチ狂っていたときにも母は言った。
「あなたは色覚異常なんだから、そっちの方面の職業にはつけないわよ。いい加減に目を覚ましなさい。」
進路を決めるときにも、デザイン関係の学校は論外とされた。
「もし、学校に入れたとしても、色がわからないんじゃしかたないし、職業になんてできっこない。」
という理由からだった。
ちなみに色覚異常なんて関係なくなれっこないけど、医者やパイロットもだめらしい、と母から聞いた。
でも、朝日新聞に色覚異常のお医者さんのコラムがあるよね。
結局理系を選んだのだけれど、これだって色と無関係ってわけじゃないと思う。
後で知ったことだが、わたしが入学した電気科は色覚異常に対して一部入学制限があるところらしい。
母がなんにも知らなかったからすんなり進学できたけど。
わたしの父も理系なので、母は制限があるなんて夢にも思わなかったのだろう。
でも父の専攻はよく考えたら「数学」だった。(笑)
入学して最初にびびったのは、やはり電気実験で使う抵抗。
カラーバーで抵抗値を読むことになっているのだ。
あれを見たとたん「もしかしたら読めないかも~。」と不安になった。
でも実際は一度も読む努力をすることもなく卒業してしまった。
なぜか?
実験は何人かでチームを組んでするものなのだが、たいていチームの中にひとりは回路を組んだりするのが得意な人がいるのだ。
そうゆう人が手早く回路を組んでしまうから、わたしはぼーっと見てるだけ。
それに抵抗が読めたとしても計算するのがめんどくさいからテスターで見たほうが効率的。
そんなこんなで特に不自由を感じることもなく学校は卒業してしまった。
でも、依然わたしはコンプレックスを抱えたまま今に至る。
結婚するときも、彼に相談した。
「わたしが男の子を産んだら、多分色覚異常になると思う。
女の子を産んだら遺伝子保因者になるよ。それでもいい?」
彼は「まったく気にしない。」と言ってくれた。
普段のわたしを見ていて、そんなことは気にすることでもなんでもないと思っていたのだろう。
でも、たまに、自分の子供たちを見ていて(女の子のみです)ふとこの子たちが結婚して男の子を産んだら色覚異常になるのかな?と思うことがある。
わたしの母と同じ苦しみを味あわせてしまうのかな、と考えると胸が痛い。もう少し大きくなったら色覚異常についてもちゃんと話してあげなければ、と思う。