昔の人の色彩表現がユニークです。
海はワイン色、羊のことはすみれ色、蜂蜜は緑、空は青銅
などと、表現していたそうです。
これ、紀元前8世紀ギリシャのホメロスという詩人の詩にあるそうなんです。
で、驚きました。
あまりにも、意表をついていないでしょうか?
ただ、少し考えて「色の区分けって産業革命以後に確立したんだよね」 と思いました。
ペンキ、絵の具、糸、布、さまざまな工業製品etc…
規格を作らないと、てんでばらばらに「赤」だ「ピンク」だ「ウグイス色」だと解釈されてしまって、大量生産のときに不便ですし。
工業製品のなかったホメロスの時代が、ワイン色と海をつなげたからと言って、驚くようなことじゃないです。
ただし、ここらの色については昔から議論されていて、有名なのは19世紀の政治家・学者のウィリアム・グラッドストンの説だそうです。
→「ホメロスは“青”の感覚が弱い。古代ギリシャ人は青を色として十分認識していなかったのでは?」
とか言っていたそうです。
どうなんでしょうか? ただ、青担当のSオプシン遺伝子(OPN1SW)は常染色体の「第7染色体」上にあり、X染色体みたいな不安定な場所にあるLオプシン、Mオプシンと違います。
つまり、かなり多くの人が安定的に持っている遺伝子。
青こそ、早くから「これは青だ」「あれは青だ」と共通して言われてそうなのに、こういう言われようって、面白いです。
ところで、文化的に一番早く色として定着していたのは白、黒だそうです。
白、黒なら「桿体」(かんたい/ロドプシン、第3染色体上)が担当です。
明暗視を司る桿体は、哺乳類が夜行性だったときから活躍していて、錐体よりも起源が古いです。
ちなみに、前回のPOSTで、錐体が中心窩に集中して存在していると報告しましたが、こちらは中心窩から遠い場所に偏在していて、周辺網膜は桿体が圧倒的多数いるとのこと。
周辺 周辺 桿体多い 桿体多い
\ / \ / 錐体 錐体 錐体 (中心窩)
/
/ \
桿体多い 桿体多い
______________こんな感じ↑ 天体観測で「側視法」と言うのがあって、夜空の暗い星を見るとき、真正面から見ると見えにくいのが、少し視線をずらすことで見えるのを利用しているとか。これは桿体の多い領域に像が移って見える原理だそうです。
そんなで、単なる雑談になりましたけど、
ワイン色の海、「豊穣」「幸福」「収穫」「酩酊」「死」「生命」などの意味を含みこんで、「青い海」よりなんだか豊かな感じがしませんか?
これからは海のこと、ワイン色と言いたくなりました。