1.色分けだけに頼らないデザイン
「色」とは、物の外側にべったりと貼り付いている、物質的真実、というわけではないのです。
「色」は、光を受け取った各自の目の細胞が、波長に応じて反応を起こし、それがまた脳の特定部位に送られて「色」として感じられるもの。色即是空とはよくいったもので、「色すなわち空」なのです。
ですから、何か決定的に確かなものとしではなく、文字通り「楽しい彩り」として考えて、サブとなる判断手段を足すようにしてください。
◆とあるテレビ局のバラエティ番組で、実際に見た良い例です。
どのドアがあたりで、どのドアがハズレかというゲーム。ドアを蹴破ると、ハズレだと小麦粉の砂場につっこみ、アタリだとゴールへ行けるのです。司会者は「何色のドアを破るか?」ではなくて、「何番のドアを破るか?」と質問していました。色を分けただけに終わらず、番号も付けたことが、お見事でした。
↑こちらは、同一デザインで色だけ違うもの。ここから選択を迫るのはよくない事例。
サブとなる判断手段は、「数字」「言葉」「言葉による説明」「記号」「形」などが、考えられます。
強調したいのは、無闇とシンプルにしない、ということです。困ったとき、冗長さにしばしば助けられるのは、多くの人が経験ずみかと思います。
2.色と色の間に緩衝材のあるデザイン
色の上に色が直接置かれた表示は目が疲れます。目の疲労だけではなく、色同士の不協和音によって頭痛や吐き気を起こす方もいます。
下の見本は赤と緑で作りましたが、この色の組み合わせに限らず明度のほぼ同じ組み合わせ(青やオレンジの重なりなど)ではどれでも起こりえるようです。
3.黒板に赤チョークを使わない授業
濃い緑色の黒板に、白よりもずっと暗い明度の赤チョークはとても見づらいのです。
「赤チョークが見えなくても、特に不自由はなかったですよ」というご意見もいただくので、いちがいに不便と決め付けられませんが、うちの子供は「見えない」とベソをかいていました。
赤=重要、という慣例、見直してみませんか。
4.レーザーポインターを使わなくても伝わる工夫
会議やプレゼンテーションで使われるレーザーポインターですが、レーザーポインターはそのポイントの面積の小ささと、赤い色のせいで、きわめて視認性が悪いのです。
そのレーザーポインター、必要ですか?
出来るだけ使わなくても、伝わる工夫をお願いします。
5.色の対比は、赤-緑よりも、赤紫-緑を用いる
例えば生物のプレゼンテーション。
動物組織というのは、染色しないとどれがどれだが分からないそうです。 そのための色は何でもいいわけですが、赤-緑で区別されることが多いそう。
それを、赤の変わりに赤紫を使い、重なり部分を従来の黄色ではなく白を使うと、より多くの人に見えやすい表示になります。